水福連携について調べたいけれど、記事や体験談が少ないと感じている方に向けて、この記事では以下の内容を解説します。
上記のお悩みについてお答えします。
※この記事をブックマークしておくことで、今後追加される関連記事のリンクもまとめてチェックできます。具体的なアクションを起こしたい方は、筆者(佐々木和也)が運営するwideepよりお問い合わせやご相談をお願いします。
本記事の目的
この記事では、水福連携についての基本的な知識と実践方法を解説し、水産業と福祉の連携を考えている関係者が把握すべきポイントを明らかにします。
この記事の信頼性
水福連携の実績で、以下の成果を上げています。
・会社立ち上げから6ヶ月で水福連携を構築
・花巻青年会議所SDGsアワード受賞(2020年)大船渡市ビジネスプランコンテストにて受賞(2021年)
・ノウフクアワード史上初となる水産企業による受賞(2022年)※外部リンク
・イオン系3社にて東北大震災10年の節目の3.11より一斉販売開始
・魚のプロ集団、田清魚店(清次郎)にて、ほや、生うにを取り扱い
・光陵支援学校にて『多様性のある働き方』の講演※外部リンク
・岩手県特別支援学校技能認定会にて審査員※外部リンク


この記事を読むことによって、
- 水福連携を進める上でのステップバイステップの方法が理解でき、実際にプロジェクトを開始しやすくなります。
- 各関係者が果たすべき役割や連携の重要性についても把握することができます。
それでは、具体的について見ていきましょう。
水福連携とは??
水福連携とは、沿岸部の基幹産業である水産業の人手不足や担い手不足の解消と、障がい者の就労機会の拡大を図ることを目的に作られた言葉です。
農福連携の水産バージョンのイメージで問題ありません。
水福連携が必要な理由とその効果
水産側と福祉側の両方向から必要性を簡単に解説します。
水産側の必要性
さらに担い手の高齢化と若者離れが各地域で深刻な問題となってます。
福祉側の必要性
福祉事業所の目的(後ほど説明します)を達成するためには様々な仕事を利用者に経験させる必要があり、その中でも沿岸特有の産業である水産は地域との関わりという点で密接にあるべき部分なのです。
水福連携で関与する行政、水産、福祉各方面の役割
行政の役割
水産と福祉の知識を兼ね備えた人材の育成が必要
わたしは事業を始めるまでは水産も福祉も素人でした。
しかし、水産のプロである社長より品質管理(HACCP)、安定供給、価格設定の方法、アイテムごとのマーケティング方法、物流の構築、商流の構築、ほやの扱い方など全てを学びました。
また、福祉のプロである気仙障がい者就業・生活支援センターの方から福祉の考え方、一人一人個性の違いや障害に対する考え方、得意不得の壁など様々なことを学び、福祉界隈のセミナーを紹介してもらい、参加させて頂いたことにより少しずつ理解が深まりました。
企業の役割
気づき、考え、行動できる人材の育成が必要
これは会社の中間管理職として必要な能力です。私の経験上これができる人材は自ら成長し、問題を解決する力が備わっていると考えます。
また、水福連携に限らずどの産業、分野でも必要な人材であり、枯渇しているポジションでもあると考えます。
福祉の役割(働く利用者に対して)
『挨拶、返事、自己表現、嘘をつかない』指導が必要
これができていれば最低限「社会で働く」スタートラインに立つことができます。
『挨拶、返事』は一般的な社会人としてのマナーにも組み込まれている考え方ですが、『自己表現』とはつまり、説明や指示があったときに分かったのか分からなかったのかを意思を持って言うことができるか、です。
指示をしたり、教えたりする立場からすると理解してもらう必要があるから説明をするはずです。そこに対しての返事によって理解度を探りますが、的を得た返事が返ってこなかったり、不安そうだと、誰しもが伝わったかどうか不安になります。
結果的に作業を任せることができなくなり、「自分で作業した方が安全」としてしまいます。
『嘘をつかない』これは仕事を預ける上で最も必要な考え方です。何か失敗した時に嘘をついてその場をやり過ごすと後々、大きなクレームとなったり取り返しのつかないことになってしまいます。
被害を最小限に食い止める意味でも失敗したらすぐに正直に報告することが大切です。
障害者に対しての考え方を改める必要がある
日本の風習である『周りと一緒が良い』という考え方
できないこと(苦手、理由がありできない)をその人の社会的価値として測るのではなく、できる(得意、好き)をその人の社会的価値として評価しなければならないと考えます。
この考え方をできることによって例えば、身体障害者が水産の作業をできないかと言われるとそうではありません。
「気づき、考え、行動する」ことができれば管理者になれる可能性は大いにあります。
障害者と健常者という概念ではない
企業の役割、福祉の役割で説明したことは障害があるないに関わらず、社会で働く全ての人に言えることです。
健常者とはいえ、嘘をつくような人は周りからの信頼もありません。
会社での評価は真面目に会社のために頑張っている人が当たり前に評価をされるべきです。
そこには障害者、健常者と区別する必要はありません。
水福連携への世間の関心度と注目点
2023年5月現在、水福連携はまだ水産業に浸透していません。それは参考になる企業が少ないからです。
SDGsやCSVの今
大企業では当たり前の考え方となっている
国分やイオンなど日本を代表する大企業では、当たり前の考え方となっています。
しかし商社や量販店ではサプライチェーン上、自社で商品にSDGsやCSVの付加価値をつけることが難しいのが実態です。
自社ブランドの商品であれば構築することができますが、全ての商品を自社ブランド化することは不可能です。
現場に近い中小企業だからできる
現場に近い中小企業であれば規模感を超えて、大企業と肩を並べることができます。
大企業はそういったメーカーを日々探しています。
現代社会において当たり前の考え方になっていることを理解する
日本だけでなく海外でも「エコ」や「SDGs」、「ESG投資」から連想されるように、当たり前の考え方となっています。
この事実に早く気づき、実行することが大切です。
値段が高すぎては意味がないということ
食品を扱っている業種であれば特に気にしている、商品単価。
高く売ることができれば確かに会社は儲かり、給料もたくさん払うことができるでしょう。
しかし、今までスーパーで100円だった食品が500円になったらどうでしょう。
結局は持続可能な形とは言えないと考えています。
この問題は会社だけでなく、業界や、日本経済の問題でもあるためどうしようもできないのも事実です。
経済の変化や環境の変化にいち早く気づき、準備することが大切です。
水福連携を進める際の手順と実践方法
水産は福祉を、福祉は水産を深く知る
まずお互いに深く理解する必要があります。
会社は利益を追求する
会社である以上、目的は利益の追求が基本です。
従業員を抱えているのであれば尚更、無駄な経費を極力抑えようとし、サービス内容が複雑化し、価値観の多様性により昔と違って様々なことをしなければ会社は儲からなくなっています。
そんな中、人不足や働き方改革により変化を余儀なくされているのが現状です。
福祉は社会参加や就労機会、自立支援が目的
福祉事業所(A型、B型)の目的は利用者の社会参加や自立支援、職業訓練や就労機会の創出、一般企業で働くためのスキルアップや経験、障害者雇用の促進、働くことによる経済的自立の支援です。
そして主な仕事として事業所内でできる仕事の受注と施設外就労ががあります。
事業所内でできる仕事は箱づくりや梱包作業、シール貼り作業など軽作業が比較的多いです。
中には工夫を凝らした方法でNPOや他団体が連携し、地域活性した事例もいくつかあります。
施設外就労は企業へ訪問し、実際に一緒に作業をしながら様々なことを学びながら工賃をもらう。
施設外就労ができる利用者にとっては非常に効果的で目的に対してのアプローチがしやすいのだが、施設外就労の加算が改定となり、さらにコロナウィルスにより受け入れ先企業が減少。
働く意欲があるのにも関わらず厳しい状態となっている。
外部リンク:
B型事業所工賃に関して
施設外就労加算に代わる地域協働加算の取得ポイント(令和3年度報酬改定)
事業所内でも障害が様々あるなかで軽度の障害で働く力と意欲はあるが、一般企業での雇用につながらず事業所で最低賃金以下の働き方しかできていない人も中にはいます。
福祉事業所や支援センターの頑張りだけでは超えられないのが実態です。
今までお話ししていた部分は働く力がある人たちの場合です。
支援が必須となる人たちもいるのも事実、とだけ理解していただければと思います。
さいごに
いかがでしたか?
水福連携を自社での経験をもとに解説しました。
「もっと詳しく知りたい」、「自社のやっていることを見てほしい」「やらなければならないと思っている」方はこちらからご連絡をお願いいたします。
wideep
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今行っている水産事業の過去のイメージを払拭したい方、新たな形の水産業を目指している方、是非お気軽にどうぞ。